水族館やテレビで見るクリオネ、小さいひれを一生懸命に動かして泳ぐあの可愛い生き物が実際に見れる場所があるのをご存じですか?
北海道よりさらに北のオホーツク海で発生した氷の塊、それが流され集まって北海道沿岸に流れ着いたものが流氷と呼ばれているものです、良くテレビでも見ますよね?
実はクリオネはあの流氷の下にいるんです!
冬の北海道の極寒の中で海に潜ることを流氷ダイビングと呼ばれているんですが、普段のダイビングと違い、極寒ならではの装備や注意点があるんですよ!
今回はそんなクリオネに会える流氷ダイビングについてお話しようと思います。
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流氷ダイビング
流氷は、北海道よりさらに北のオホーツク海からやってくる氷の塊のことで、流氷が初めて見られるのが北海道のオホーツク海沿岸で1月中旬から下旬頃です、その後1月下旬から2月上旬頃にかけて接岸します。
流氷はその名の通り、常に動き回っていて、2月~3月は北風に流され北海道の北部に集まることが多く、知床半島はその地形から最終的に流れ着く地点になっていて流氷を見れる可能性が一番高い場所です。
その流れ着いた氷の下を潜ることができるのが流氷ダイビングと呼ばれているものです。
普通のダイビングとの違い
エントリーポイントを作る!
本州以南で普段やってるダイビングはエントリーポイントは最初から設定されています、手すりが設置されていたり、ロープがあったり、目印がありますね?
しかし、流氷ダイビングは広い氷の上からエントリーします、しかも常に動いているのでエントリーポイントは自分たちで作らないといけません。
ダイビングのエントリーポイントの目安をだいたい決めてソリで器材を運び、チェーンソーでエントリーする場所を作ることから始まります、(すでに入り口ができている場合もあります)。
(場所によってはダイビングの装備をしたまま歩いていくこともあります)
流氷ダイビングの装備
外気温がマイナス15度、海水温がマイナス1度という氷点下のアイスダイビングは、特別な防寒対策が必要となります。
普通のレギュレーターでは中が凍結してフリーフローしてしまうので、寒冷地仕様のものを使用します。(レンタルもあり)
またドライスーツは通常のものでOKです、インナーはいつもより厚手のものか、重ね着をします、フードやグローブもウインタータイプの5ミリのネオプレン素材の物を使います。
かなり着込むのでウエイトも多めになります、女性でも12から14キロ前後、男性で15から18キロ程必要になります、(アンクルウエイトも必要です)。
器材はあらかじめ十分に乾燥させていないとエントリーポイントで凍結してしまうので注意が必要です。
エントリーとダイビングスタイル
基本的にコントロールラインに沿ったダイビングスタイル、数名で一組になってエントリー、団子三兄弟のように数珠つなぎで海に入ります。
陸上にはコントロールラインで指示を出すチームが待機します、ひとりずつコントロールラインを掴みながらゆっくりと潜降します。
カラビナでロープを固定することもありますが、このロープは常に掴んでいるようにします、陸上の指示がすべてロープを通して手に伝わる為に絶対に離してはいけません。
ダイビングポイントは5メートルから8メートル前後が多く、基本的に動き回りません。
普段のダイビングと違いマスクの目の前をじーっと見つめるように集中して、クリオネを探します(笑)。
見える時と見えない時もあり運任せですが、見えたらラッキー、可愛く泳ぐ姿が見れますよ!
ちなみにクリオネの捕食シーンは動画でも公開されています、あの可愛い姿からは想像できません、結構ショックを受けます(笑)
クリオネの他にもクサイロモエビやウミウシなど、寒い海特有の生き物も見られます、私の時は美味しそうなバフンウニもたくさん見られました(笑)
流氷の下から見上げる氷の色が透明でも白でもなく真っ青なので綺麗でした、この流氷には植物プランクトンが豊富でそれを求めて動物プランクトンが発生します。
さらに動物プランクトン捕食する魚が集まり、魚を捕るアザラシなどが集まってきます。
まさに食物連鎖ですね、自然の営みの一部を垣間見ることができるもの流氷ダイビングの魅力のひとつです。
注意点
外気がマイナス15度、水中がマイナス1度の環境下なのでドライスーツのインナーの選択を誤ると身体が冷えるレベルを通り越して低体温になります。
少しでも寒さを感じたらインストラクターにサインを送り指示をもらいましょう、無理は禁物です。
私も経験がありますが、低体温になると身体が震えます、筋肉を動かして熱を発生させようとする身体の反応ですが、これを過ぎると震えが止まり、重要な臓器に血液を集めようとします。
頭がぼーっとしてくるのですが、この時点でかなり危険です、冷たさを感じなくなる前に救助しないと命にかかわりますので、絶対に無理をして寒さを我慢しないようにしてください。
そして流氷ダイビングで注意しておかないといけないことをもう一つ、その寒さの為に起こるレギュレーターの凍結によるフリーフローには注意しないといけません。
最初はポロポロと空気がレギュレーターから漏れていく感じがしますが、ほっておくと必ず大きなフローに発展します。
最初の少しのフローの時点で直ちにインストラクターにサインを出しましょう、空気が漏れ続け大きなフローになる前に浮上します。
時々前触れなく激しくフローするケースもあります、この時は講習で習ったフリーフローするレギュレーターからの呼吸法を使って通常浮上します。
ダイビングが終われば器材をすぐに外します、氷の上にタンクやレギュレーターの中圧ホース等を直におかないことも大事です、この時に十分に乾燥させていないと凍結してしまいます。
まとめ
流氷ダイビング後に流氷の上をジャンプして回ってみたり、お約束の濡れたタオルを振り回したり、ワカサギ釣りやジンギスカンなどの海の幸に舌鼓を打ったり。
冬の北海道には美味しいものがたくさんありますし、アザラシやオオワシなどの、冬ならではの生き物も見られます。
気を付けなければいけないことも多い、冬の流氷ダイビングですが、それ以上に貴重な体験が出来ること間違いなしです。
地球温暖化の影響いつまで流氷ダイビングができるかも未知数です、是非今のうちに流氷に乗って流れくる可愛い生き物達を見に行ってはいかがでしょうか。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。