ダイビングに興味がある方や、これからダイビングを始めてみたいなと思っている方の中にはどんな海で講習をするんだろうとか、何メートルくらいの深さで講習するんだろうとか、危なくないかな~とか、いろいろ不安になりますよね?
オープンの講習の初めの頃には深い海に入りません、講習も終盤になってくると18Mくらいの深さの海に潜るのですが、その時に身体はどうなるのか、ちょっと知っておいてもらいたい事があります。
今回はダイビング講習中の深度と身体への負担についてお話していこうと思います。
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ダイビング講習はどこでやるの?
ダイビングの講習内容については以前の記事でご紹介したのでそちらを見ていただければいいと思います。
ライセンス講習の内の実技講習はどこで行うかと言うと、限定水域と呼ばれる浅い水域(主にプール)とオープンウオーターと呼ばれる海の2か所で行います。
※限定水域講習もプールに似た海で行うショップもあります※
限定水域(以下プール)とオープンウオーター(以下海)では講習内容も潜る深度もまったく違っていて、プールでは最大5M、海では最大18Mです。
プールの深度について
プールでは初めてスキルを学ぶため、波もうねりもなく安定した場所が必要で水深も身体に負担の少ない最大深度5Mのプールで行います。
ほとんどのダイビング専用プールには1Mくらいの深さの場所と5Mくらいの場所の2か所の構造になっていて、いきなり5Mに潜ることはありません。
最初は1M程度の足が付く水深の所で基本のスキルを練習してから、徐々に深い所へと移動していきます。
1M位の水深で膝を立てマスクに入った水を出すスキルや、フィンを外す、うつぶせに寝たまま空気を吸ったり吐いたりする。
といったダイビングに必要な基本的なスキルを練習していきます。
また5Mの水底で器材を全部脱いで再び装着したり、マスクが外れて見えなくなった状態でマスクを装着したり。
エア切れになった時の緊急の浮上といった難しいスキルまでいろんなスキルを練習していきます。
海の深度について
オープンウオータダイバーのライセンスを取得すれば18Mまで潜ることができると以前にお話しました。
浅い5M程度の場所からプールで行った基本的なスキルをおさらいし、18Mの場所まで徐々に深く潜ってスキルを練習していきます。
プールでは潜っても5M程度だったので身体にかかる水圧も負担も少なく済んだのですが、18Mとなれば身体にかかる水圧も負担も大きくなってきます。
基本的にプールで身に着けたスキルが海でもきちんとできるかどうかを試す場なので、聞いたこともない新しいスキルはありませんが。
波も水温も透明度もプールとは全く違う場所や深度で行う為、身体への負担は増大します。
18Mでかかる水圧について
水深18Mでの水圧って皆さんはどのくらいだと思いますか?
人間には地上にいる時も常に大気の圧力がかかっています(大気圧)、地上の大気圧は1013.25hpa(ヘクトパスカル)だいたい1Kgの空気で上から押されていることになります。
これは地上から500キロ上空までにある空気の重さです。
ダイビングで水中に潜ると地上の1気圧にプラスされて、その深度までの水圧がかかります、なんと水圧は水深10mごとに1気圧増加するんです!
水面で大気圧が1気圧かかっていますので、10Mで身体にかかる水圧は(水面の1気圧+10Mの1気圧=2気圧)合計2気圧。
18Mでかかる水圧は(水面の1気圧+18Mの1.8気圧=2.8気圧)合計2.8気圧。
20Mでかかる水圧は(水面の1気圧+20Mの2.0気圧=3.0気圧)合計3.0気圧
つまり18Mにいるダイバーには水面にいる時の2.8倍の圧力がかかっているということなんです!
でも地上500キロの空気の圧力と水深10Mの水圧が同じってことに驚きますね!!
それだけ身体への負担が大きいということですね、人間の体の中の空気が外の圧力に負けないように押し返しているため水中で肺がつぶれてしまうことはありません。
一度の呼吸でタンクの空気も圧力に比例して多くの空気を出しています、水面で60分呼吸できたタンクなら20Mに潜れば水面の3倍の圧力がかかるので20分しかもたないことになります。
耳抜きに注意しましょう。
これはプール、海に共通することですが、水面から潜降する時にインストラクターは耳抜きがきちんとできているか注意して聞いてきます。
水の中は水深10Mで2倍と急激に圧力が変化します、50センチ潜るのにも無理をすると鼓膜や耳管を痛めます、少しづつ潜降しながら耳抜きが出来ているか確認するのはそのためです。
耳抜きは無理せずに痛みを感じたらすぐインストラクターにサインを送って浮上しましょう!
耳抜きのコツは、水面にいるときから少しずつ耳抜きをすること、頭が水に入った段階でもう耳に圧がかかるのでその前から耳抜きをしていきましょう!
急浮上の時がもっとも危険!減圧症と肺の過膨張!
減圧症
水中では圧力がかかると先ほどお話しました、例えば水深20Mにいるダイバーには何気圧かかっているでしょうか?
そうですね、3気圧(大気圧1+水圧2=3気圧)です。
この状態の肺には陸上で口から吸う空気の3倍もの濃い空気が入ってきています。
ここからダイバーが急浮上したらどうなると思いますか?
酸素も窒素も深さ(圧力)に応じて血液中に取り込まれます、わかりやすい例を挙げると、炭酸を閉じ込めた炭酸飲料状態です、この状態でペットボトルの蓋を勢いよくあけると炭酸が泡になりますね?
これと同じで人間の血液中に溶け込んでいる窒素も、急浮上によって急激に圧力が抜けると泡状になります。
この泡が血液に乗って身体を駆けめぐり、いろんな毛細血管に詰まります、これが減圧症と呼ばれるもので症状によっては死に至る場合もあります。
講習で習いますが、減圧症を防ぐにはゆっくり浮上することです、基準としては自分の吐く泡を超える速度で浮上しないことです。
肺の過膨張障害
例えば大きく膨らませた風船を思い浮かべてください。
そのまま30Mの海の底に行くと風船は圧力で縮むのですが、これが人間の肺だとすると。
そのまま大きく息を吸い、息をこらえて浮上すると・・・人間の肺は膨らむことが出来る限界があります、それを超えて膨らんだら・・どうなってしまうか想像つきますよね?。
大事なことは、浮上する時は呼吸を止めない事!
緊急時にやむを得ず急浮上するときは息をあーっと声を出しながら浮上すること!
これで急浮上による肺の過膨張を阻止できます。
深くもぐれば潜るほど危険が増える窒素酔い!
深度が深くなればなるほど危険が高まるもう一つの現象として窒素酔いがあります。
窒素酔いは深度が深くなればなるほどかかりやすくなります、窒素には麻酔作用があるためお酒に酔ったような行動をすることがあります。
レギュレーターを外そうとしたり、上下がわからなくなって潜降しているつもりで浮上してみたり、吐いたり。
もしバディが深い場所でそのような行動をするようになったら窒素酔いを疑ってください。
その時は手をつかんで一緒にゆっくり浮上しましょう。
まとめ
どうでしょう、ダイビングにおいて深く潜るということは、それだけ危険が増すことがお分かり頂けたでしょうか? これが18Mではなく30Mや40Mであればなおさら危険度が増しますね。
だからと言ってむやみやたらと心配する必要はありません。
事故を未然に防止するためにもオープンの講習はあるのですから、ルールを守ってダイビングをするならこれほど楽しい海のレジャーはないと思っています。
これからダイバーになろうとしている方、講習中に習うことをきちんと覚えて楽しいダビングをしてくださいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。